砂漠探検隊

とある探検隊が砂漠に調査に行った時の話

教授と学生からなるチーム

水は少ない

一人の学生が水筒に口をつけて水を含んでいると

教授が怒って言った

　おい、なんでそんなに水あるんだ、ズルしてるじゃないか！

その学生は水を飲み下さず口を湿らす程度にしていたのだった

教授の大人げなさにほっこりする話だったのだが

今の世の中

このズルしてるじゃないか感を持っている人たちが

大勢いるのだと

痛感する

なんか知らないけど割食ってる感

なんか知らないけどうまい汁吸ってそうな奴は

袋叩きにしたい感

でもね

水の量はもともと少ないのよ？





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柔の拳

爆笑動画botみたいなとこで駅で暴れた男の人を駅員5,6人で押さえ込む映像が貼られていた

笑えなかった

おっさんがなぜ叫んでいたかの文脈は途切れていてわからないし

ともかく屈強なホモ、もとい大の漢5，6人がかりで1人のおっさんを敷き伏せる姿は痛ましかった

暴れちゃダメでしょｗｗ　とup主は笑っていたが、あれを見て笑える神経が危ういと思ふのだ

自分でなくてよかったと胸をなでおろすからか

あんなことするとヤバいんだと学びがあったからか

あるいは僕がおっさんのほうに感情移入しやすいだけのことかもしれない

おっさんが暴れたのがもしアルプスの山中だったら何も問題はなかったに違いない

それ以前にアルプスにいればおっさんは暴れなかっただろう

だが不幸にもそこはアリの巣のごとく入り組んだ複雑な地下鉄で

圧迫を加えていれば暴発する民衆が出るのは、当然のことなんだよ

そして「やつらは俺の身に身勝手なことをした。だから俺も勝手なことをし返してやるんだ」

というロジックが措置入院にでもされればあっという間に成立してしまうんだ

誰も上を見上げない街の

誰もなぜと問わない社会で






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暁

狂犬病にかかった犬を保健所に連れて行って

殺処分にするのと同じような具合に

人間をも屠ってきたのが

ここ20年来のこの国の行政です

ブラジルでは30分に一人凶悪犯罪で死者が出ていると

ニュースで聞いて震えて

ああ、日本は平和だなぁという人の呟きを聞き

日本では15分に一人自殺者が出ていると調べて知り

選ぶところがないと一人ごちる

誰も暁を見たことがないなら

この夜をどうやって生きる？

己の力で時を進められたら

それほどいいことはないが

誰も暁を見たことがないなら

僕はへばりついて待つ

ばかりではないほどの策士ぶりを見せつつ






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真の考察

十代の僕は自問した。客観的・普遍的・絶対的真理は存するか。
そして答えた。無い、あるのは主観的・個別的・相対的真理のみである。
のちに数学の世界には前者が普通にあることを知って切なく思った。





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深雪遠望

雨は夜更けすぎに雪へと変わって
けっこう積もったな
雪かきが大変だ

ここでただはしゃぐかどんよりするかが
子供と大人の境目なのかな

ラジオで
大人になるっていうのは責任を持って生きること
なんじゃないかな
って言ってた

子供ってわりと強い者におもねるところがあって
そういうわけで力関係で下の下のぼくを頼ってくることは
ほとんどない――よいことだ

ひるがえって権力者を見てみると
責任(？)というマークが付きそうな勢いで
あとは野となれ山となれ精神で動いているように見える

そういう者たちは命の選択を迫られれば
大いに何の恥じらいもなく
友をも民をも売ってみせることだろう

願わくば
彼らが命の選択を迫られるような事態にならないことを
私の責任として
人らを守りたいのだ

　(今日は家の雪かきをしてね)

心の中のお母さんがそっとつぶやくのだった






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